第6回「スポーツ集団の人間関係」

第6回「スポーツ集団の人間関係」
出原泰明氏(体育学者・日本福祉大学助教授)

スポーツ集団の人間関係をどう考えるか、技術を学び合う集団とはどうあったらよいか、スポーツ集団の中で他人との関係をどうつくっていくかを話していただいた。

日本のスポーツ集団は、根性、上下関係で結びつく傾向がある。「へたな人は、技術をまだ習得し てない人、教えてもらうようになってうまくなる人、よりうまくなる喜びをもっともっと味わえる人」である。しかし個人差はある。技術の習熟速度は違う。あ る段階を切り取って、この人は出来るとか出来ないとか決めるのはまちがい。うまい人は未来の自分、へたな人は自分の過去、うまい人とへたな人は一本の糸で つながっている。命令とか、権威とか、上下関係とかがスポーツ集団との接着剤ではなく、集団を支える一番のものは「スポーツの技術、剣道の技術をともに共 有することである」。これがうまい人もへたな人も皆仲間なんだという連帯感、感動を作り上げていく大きなエネルギーになっていく。氏の話に剣道の集団によ く見かけることを指摘されハッとなった。

氏は名古屋から山中湖までナナハンのオートバイを飛ばしてやってきた。

(第6回・1984年9月・山中湖)