第7回「日本・ヨーロッパのスポーツの歴史と伝統から」
第7回「日本・ヨーロッパのスポーツの歴史と伝統から」
唐木國彦氏(体育社会学者・一橋大学教授)
「日本と外国のスポーツの違い」について世界のどの国 もスポーツについて優れたところもあるけれども問題も抱えている。日本は東京オリンピックを境にして、皆がスポーツをするようになり、スポーツをしようと いう意識が高まり始めた。このことはスポーツが発展する有利な条件ということができる。第二に日本ほど学校体育が盛んな国はない。第三に学校にスポーツ施 設がたくさんある。しかしこのような施設を使いたいと思っても自由に使えない。行政上も学校教育と社会教育という仕組みの問題がある。
また市や町や村などがお膳立てした大会や教室が多く、そこでは自分たちで教え方をどうしよう、 施設をどうしようということにはなりにくい。自分たちで道を切り開いていくということがない。自分たちがスポーツをやっていく場合に、生活に根ざしたス ポーツをやる。スポーツの多様性を認め合うこと。他のスポーツの価値も認める。個性を認め合う。同じようにチャンピオンスポーツから初心者クラブまで、多 くのスポーツマンと手を結び、施設の開放や指導者の養成に取り組む。そのためにスポーツマン、クラブの自立・主体性が求められている。
(第7回・1985年11月・山中湖)